概要
Amazon Macieは、機械学習とパターンマッチングを活用したデータセキュリティサービスです。
主にAmazon S3に保存されているデータのセキュリティとプライバシーを強化することを目的としています。膨大な量のデータの中から、クレジットカード番号、個人情報(氏名、住所、電話番号など)、健康情報、財務情報といった機密データを自動的に検出・分類し、それらのデータのセキュリティ状態を可視化できます。
主な機能
機密データの検出と可視化:Amazon S3バケット内のデータを継続的にスキャンし、機械学習とパターンマッチングを利用して、定義済みまたはカスタムの機密情報タイプを自動的に検出します。検出された機密データの種類(PII、財務情報、認証情報など)を分類し、その場所(S3バケット、オブジェクト)を特定し詳細な情報などをダッシュボードで可視化し、レポートとして提供します。
データセキュリティリスクの監視:S3バケットのセキュリティ設定(公開アクセス可否、暗号化設定、アクセス許可など)を継続的に評価し、潜在的な脆弱性を特定します。アクセスパターンやデータ変更履歴を監視し、通常とは異なる不審なアクティビティ(例えば、大量のデータダウンロードや不正なアクセス試行)を検知します。検出された機密データ、セキュリティ設定の異常、不審なアクティビティに対して、AWS Security Hub、Amazon EventBridge、Amazon SNSなどを介してアラートや通知を発行します。これにより、セキュリティチームは迅速に対応できます。
コンプライアンスの支援:GDPR(一般データ保護規則)、HIPAA(医療保険の携行性と責任に関する法律)、PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)などのデータプライバシーおよびセキュリティ規制に準拠するための基盤を提供します。機密データの検出と追跡を自動化することで、コンプライアンス監査の準備を支援します。
分析とレポート:S3バケット内のデータインベントリを生成し、データの所有者、アクセス権限、暗号化状態などの詳細な情報を提供します。検出された機密データの種類と量、リスクレベルなどの傾向を分析し、セキュリティ改善のための洞察を提供します。
利用シーン
情報漏洩リスクの低減: S3に保存された顧客情報、従業員情報、企業秘密などの機密データを特定し、それらが誤って公開されたり、不正にアクセスされたりするリスクを未然に防ぎます。
コンプライアンス要件の遵守: GDPR、HIPAA、PCI DSSなどの厳格なデータプライバシーおよびセキュリティ規制への準拠を証明するために、機密データの所在と保護状況を可視化・管理します。
M&A時のデータ評価: 合併・買収時において、取得する企業のS3データにどのような機密情報が含まれているかを事前に評価し、潜在的なリスクを把握します。
クラウド移行時のセキュリティ確保: オンプレミスからAWS S3へのデータ移行時において、移行されたデータの中に機密情報が含まれていないかを確認し、安全な移行を保証します。
セキュリティ監査と報告: 定期的なセキュリティ監査において、S3に保存されている機密データの状況や、それらに対するセキュリティ対策の有効性を報告するために利用されます。
不正アクセスや内部脅威の早期発見: S3バケットへの異常なアクセスパターンや、権限外のユーザーによるデータ操作などを監視し、内部からの脅威や不正アクセスの兆候を早期に検知します。
まとめ
Amazon Macieは、AWS S3に保存された膨大な量のデータを効率的かつ継続的に監視し、機密情報を自動的に検出・分類する強力なデータセキュリティサービスです。これにより、企業はどこにどのような機密データが存在するのかを正確に把握し、データ漏洩や不正アクセスなどのセキュリティリスクを大幅に低減できます。データ中心の現代において、企業の機密データを安全に保ち、信頼性を維持するための重要な役割を担っていると言えます。