概要
AWS Key Management Service (AWS KMS) は、データの暗号化に使用される暗号化キーを、安全に作成、管理、および制御できるマネージドサービスです。これにより、データのセキュリティとコンプライアンスを強化できます。
主な機能
キーの作成と管理:カスタマーマスターキー (CMK)はKMS内で作成・管理されるマスターキーで、データキーの暗号化・復号に使用されます。キーのタイプは対称キー、非対称キー(RSA、楕円曲線など)をサポートします。キーのオリジンはKMSで生成するだけでなく、独自のキーマテリアルをインポートしたり、AWS CloudHSMで生成したキーを使用したりすることも可能です。自動的キーローテーションする機能があり、セキュリティを向上させます。
アクセス制御:CMKへのアクセスを制御するIAMポリシーに似たポリシーです。誰がどのキーをどのような目的で使用できるかを詳細に定義できます。また、キーポリシーで定義できない一時的またはより細かい権限を付与できます。
暗号化と復号:データを直接CMKで暗号化するのではなく、CMKでデータキーを暗号化し、そのデータキーで実際のデータを暗号化するという、セキュリティの高い方法をサポートしています。これにより、大規模なデータセットの暗号化を効率的に行えます。Amazon S3、Amazon EBS、Amazon RDS、AWS Lambdaなど、100以上のAWSサービスとシームレスに統合されており、これらのサービスのデータをKMSで管理するキーで暗号化できます。
監査とモニタリング:KMSキーへのすべてのリクエスト(作成、使用、削除など)がCloudTrailに記録され、キーの利用状況を詳細に監査できます。また、Amazon CloudWatchとの連携でKMSのメトリクスを監視し、アラームを設定できます。
利用シーン
データベースの暗号化: Amazon RDS、Amazon Redshiftなどのデータベースのデータを、KMSで管理するキーで暗号化し、機密データを保護します。
ストレージの暗号化: Amazon S3バケットやAmazon EBSボリュームのデータをKMSで暗号化し、保管中のデータのセキュリティを強化します。
アプリケーションレベルの暗号化: AWS Encryption SDKなどを使用して、アプリケーション内でKMSと連携し、特定の機密データを直接暗号化・復号します。
ログファイルの暗号化: AWS CloudWatch LogsやAWS CloudTrailのログファイルをKMSで暗号化し、改ざん防止と機密性維持を図ります。
デジタル署名: 非対称キーを使用してデジタル署名を作成し、データの整合性と真正性を保証します。
コンプライアンス要件への対応: HIPAA、PCI DSS、GDPRなどの様々な業界規制やコンプライアンス要件に対応するために、強力な暗号化キー管理基盤として利用されます。
まとめ
AWS KMSは、暗号化キーの作成、管理、および利用を一元化し、データのセキュリティとコンプライアンスを大幅に向上させるためのマネージドサービスです。自動キーローテーション、きめ細かいアクセス制御、監査機能などを提供し、AWSの様々なサービスと連携して、安全なデータ保護を実現します。機密データの保護が必要なあらゆるシステムにおいて、その利用が推奨されます。