概要

AWS Network Firewall は、Amazon Virtual Private Cloud (VPC) にデプロイできるマネージド型のファイアウォールサービスです。VPC に出入りするすべてのネットワークトラフィックを検査し、定義されたルールに基づいて許可または拒否することで、ネットワークのセキュリティを強化します。

主な機能

ステートフルインスペクション: 送信元と宛先のIPアドレス、ポート番号だけでなく、TCP/UDPコネクションの状態を追跡し、確立されたコネクションのトラフィックのみを許可するなど、より高度なフィルタリングが可能です。

ルールエンジンの柔軟性:ステートレスルールは単一のパケットに対する単純なマッチングとアクション(許可、拒否、パス)を定義します。ステートフルルール:は複数のパケットにわたるパターン、プロトコルの状態、およびアプリケーションレイヤーの情報を検査し、より複雑なロジックに基づいたフィルタリングを行います。

プロトコル認識: HTTP/S、FTP、SMTP、DNSなどの特定のアプリケーションプロトコルを認識し、それらのトラフィックに対して詳細な検査やブロックを実行できます。

カスタムルールとマネージドルール:カスタムルールはユーザーが独自のセキュリティ要件に基づいてルールを定義できます。AWS マネージドルールはAWSが提供する、既知の脅威や一般的な攻撃パターンに対応するためのルールセットを利用できます。

トラフィックロギングとモニタリング: ファイアウォールによって処理されたトラフィックに関する詳細なログをAmazon S3、Amazon CloudWatch Logs、またはAmazon Kinesis Data Firehoseに送信でき、セキュリティイベントの分析や監査に活用できます。

自動スケーリングと高可用性: トラフィック量に応じて自動的にスケーリングし、高い可用性で動作するため、手動でのインフラ管理は不要です。

利用シーン

VPC間のトラフィック制御: 複数のVPCを持つ企業が、VPC間のトラフィックフローを厳密に制御し、セキュリティ境界を確立する。

インターネットへのアクセス制御: 組織のVPCからインターネットへのアウトバウンドトラフィックを監視し、マルウェアサイトへのアクセス防止やデータ漏洩対策を行う。

オンプレミスとの接続セキュリティ強化: AWS Direct Connect や VPN を介してオンプレミスネットワークと接続する際に、トラフィックのフィルタリングと脅威防御を行う。

コンプライアンス要件への対応: 業界規制やセキュリティ標準 (PCI DSS, HIPAAなど) に準拠するため、ネットワークトラフィックの厳密な制御と監査が必要な場合。

IDS/IPS機能の活用: 既知の脆弱性攻撃や不正侵入試行を検出し、ブロックする侵入検知・防止システム (IDS/IPS) として利用する。

まとめ

AWS Network Firewall は、VPC のネットワーク境界にデプロイされるマネージド型ステートフルファイアウォールサービスです。高度なトラフィック検査、柔軟なルール設定、自動スケーリング、詳細なロギング機能を備え、VPC 間の通信、インターネットへのアクセス、オンプレミスとの接続など、様々なネットワークトラフィックのセキュリティを強化します。これにより、企業はクラウド環境でのセキュリティ体制を向上させ、コンプライアンス要件を満たすことができます。